麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

その12
麻衣



「ああ、その通りだよ。まあ、総集会前は南玉内から引っ掻き回すつもりだったけど、新執行部にあそこまで結束されちゃったらさ、そういった類のオプションはもう無理だしね」

「えー?じゃあ、麻衣、どうするの?」

久美は本来なら、こういった話し合いには無用の”頭”の持ち主だ

だが、私なりにコイツには”考え”があって、あえてここに参加させている


...



「そうね…、まず南玉での私だけど、とにかくは、すっとぼけられるだけそれで通す。見透かされようが、とぼけまくって時間を稼ぐわ」

「その間に、”外部”の編成にかかる訳ね?で、最終局面の状況を作り出す…」

リエが端的に指摘したが、大筋は”それ”になる

「リエ、その外部編成はアンタと真樹子さんで主導してもらいたい。幸い、結託が可能な集団の”地ならし”は仕上がってるんだ。詳しくはこの後、真樹子さんから話してもらうからさ」

「だけど、肝心の”最終局面”に持っていくのはどういうシナリオに沿うのか、麻衣さん、何か手立てがあるの?今までみたいな切り口が無理となれば、私の頭じゃ思いつかないけど…」

真樹子さんは相変わらず厳しい表情だ

「一応、この前言った”最終局面”に持っていくしかないのは、みんな承知だと思う。問題はそのきっかけなんだけど、これは先に時期を決めちゃう。今のところは8月下旬を収束時期に見据えてるから、着手は8月中旬がリミットになる。そうすると、時間は1か月ちょっとあるということだよね。だけどこの時期、学校は夏休みを控えてて、そっちのリミットは実質3週間ないわ。みんな、この意味わかるよね?」

あーん、久美だけがわかってないや

いいや、コイツには後で

ここで補足説明してる暇ないしね


...


「フン、例の”祭り”の準備期間は限られてるってことだろ。ならよう、ターゲットを早急に決めなきやなんねーだろうが」

「祥子、豹子はターゲットをもう絞ってるよ。ねえ?」

リエが私に薄笑いを浮かべてそう振ってきた

そして…、私はゆっくりと頷いた