麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

その10
リエ


祥子が噛みついてきたわ

だけど、この女の一本気ぶりは予想以上ね

私からしたら、何もそんなにこだわらなくてもいいんじゃないかってね…


...


案の定、祥子は私に振ってきたよ

「…リエ、アンタはどうなんだ?こういう卑劣なやり方、平気なのか?」

「うーん、私はそんなに拘らないわね。別に、部外者がどうのって。第一、今回”マト”にかけたその子、私は前回、襲ってるのよ。無論、部外者承知で。ケガさせて病院送りにしてる。あれも、まあ卑劣な行為だし。だから、祥子のメンタリズムとは合わないかな…」

私は淡々と答えたわ

まあ、祥子はそれでも今回の企てについては、私のそれとは別視してたみたいだけど…


...



それにしても、真樹子さんもいざとなると気性が激しいわね、やっぱり(苦笑)

私が抑えなかったら、祥子に殴りかかってたんじゃないかしら…

そして、豹子よ

なんで、高1のこの子がこんな”クロージング”できちゃう訳?

年上の私も思わず鳥肌が立っちゃうのよ…

コイツの勝負をかけた、いざって話になると


...



結局、祥子は折れたわ

焦点になってた横田競子には、かなり興味をそそられたみたいだけどね

まあ、私にしたって、そのカモシカさんには感心大よ

ここに来てこうまでだと、やっぱ無視できない相手ではある…

前回のアレで、あの子とは”終わり”だとてっきり思い込んでたのに


...



”あの時”にはターゲットだった横田って子、そりゃあ心配だったわよ

いくらミッションとはいえ、何の恨みもない、みんなが言う”部外者”の女の子に負傷させたのよ

襲った当事者とはいえ、気の毒に思う気持ちはあった

それが、豹子も言ってるように、ハンパじゃないタフネス娘だった訳だ

ケガなんか屁とも思わない、不屈の意志とピュアなハートの持ち主なんだろう、きっと

祥子じゃないけど、一度会って気さくに話ししてみたいくらいなんだけど…

まあ、それは無理ね

私は彼女の人生を傷つけた加害者だもん

こうなったからには、好むと好まざるを問わず、あの子とは”これで終わり”はないみたいだ…