その9
真樹子
「…南玉の然るべきトップどころは、”それ”と連動しているフシが見える。いや、正確には横田の意思に沿って動いてると言っても過言じゃないよ。あわよくば、横田が南玉の導火線に火をつける展開を誘導してたんだ。フン、そこの一点なら、完全に不発だったってことだよ」
「…」
祥子は腕組みしたまま、ソファにもたれてじっと聞いてるわ
...
「祥子は好漢だからさ、こういうやり方は好かないと思うけど、今回であの女が文字通り”脅威”だと確信できたんだよ。最も、奴と接すれば、アンタとは気が合う手合いだよ、あのカモシカは」
うん…、確かに横田って奴、祥子あたりの気性なら肌が合うかもね
「だが、私は奴を潰さずにはいられないんだ、もう…。それも、靴底がべっこべっこになるまで踏みつぶしてやりたい…、それくらいの気合が入っちゃってる。祥子…、ところがその横田競子は、そう簡単には潰せる相手ではない。そう読んでたからさ、ここらでそれをはっきり断定する必要があったんだ」
「それで、ああいう手に打って出たってことなのか?」
「ああ、そうだよ。とことん惨い目に遭わせて、試してやれってのが狙いだった訳。今回のトラップはそもそも、そういうところが肝だったんだよ。結果はこっちの予想通りだったわ。あれほどまでに追い込んでもさ、屈服するタマじゃなかったわ」
そろそろ麻衣さん、詰めに入るぞ
...
「…中央公園での夜、奴をその場にいた十数人で取り囲んだんだ。現場を仕切ってた真樹子さんの話じゃあ、奴は一人で十人以上を相手に”やる”覚悟だったってことだよ。とんでもない野郎さ、アイツは」
「十人以上か…」
「アンタもケンカの場数は踏んでるからわかるはずだ。そんな怖いもの知らずの阿呆がさ、”目的”に向かう私らの前にシャシャリ出てきてるんだから、真樹子さんの言い分もさあ…。いいか、奴にたいしてはだ、ハエを追っ払う程度の甘い気構えじゃ、こっちが潰されるって」
麻衣さんのこういった下りには、いつもながら圧倒されるよ
その理詰めな組み立てと、相手の問題意識にさりげなく問いかけるクロージング…
この時点では祥子だけでなく、久美とリエも麻衣さんの話はに吸い込まれるようにふんふんと頷いてるしね
「フン…、まあ、お前の”演説”はいつもながら見事だわ。説得力あるよ。真樹子さん…、まあ、さっきは言い過ぎました。勘弁してほしい。…しかし、その横田とかっての、一度見てみたいな…」
祥子はとりあえず、”納得”したみたいだ
だが、この時の彼女、妙にギラギラした目つきだったわ
真樹子
「…南玉の然るべきトップどころは、”それ”と連動しているフシが見える。いや、正確には横田の意思に沿って動いてると言っても過言じゃないよ。あわよくば、横田が南玉の導火線に火をつける展開を誘導してたんだ。フン、そこの一点なら、完全に不発だったってことだよ」
「…」
祥子は腕組みしたまま、ソファにもたれてじっと聞いてるわ
...
「祥子は好漢だからさ、こういうやり方は好かないと思うけど、今回であの女が文字通り”脅威”だと確信できたんだよ。最も、奴と接すれば、アンタとは気が合う手合いだよ、あのカモシカは」
うん…、確かに横田って奴、祥子あたりの気性なら肌が合うかもね
「だが、私は奴を潰さずにはいられないんだ、もう…。それも、靴底がべっこべっこになるまで踏みつぶしてやりたい…、それくらいの気合が入っちゃってる。祥子…、ところがその横田競子は、そう簡単には潰せる相手ではない。そう読んでたからさ、ここらでそれをはっきり断定する必要があったんだ」
「それで、ああいう手に打って出たってことなのか?」
「ああ、そうだよ。とことん惨い目に遭わせて、試してやれってのが狙いだった訳。今回のトラップはそもそも、そういうところが肝だったんだよ。結果はこっちの予想通りだったわ。あれほどまでに追い込んでもさ、屈服するタマじゃなかったわ」
そろそろ麻衣さん、詰めに入るぞ
...
「…中央公園での夜、奴をその場にいた十数人で取り囲んだんだ。現場を仕切ってた真樹子さんの話じゃあ、奴は一人で十人以上を相手に”やる”覚悟だったってことだよ。とんでもない野郎さ、アイツは」
「十人以上か…」
「アンタもケンカの場数は踏んでるからわかるはずだ。そんな怖いもの知らずの阿呆がさ、”目的”に向かう私らの前にシャシャリ出てきてるんだから、真樹子さんの言い分もさあ…。いいか、奴にたいしてはだ、ハエを追っ払う程度の甘い気構えじゃ、こっちが潰されるって」
麻衣さんのこういった下りには、いつもながら圧倒されるよ
その理詰めな組み立てと、相手の問題意識にさりげなく問いかけるクロージング…
この時点では祥子だけでなく、久美とリエも麻衣さんの話はに吸い込まれるようにふんふんと頷いてるしね
「フン…、まあ、お前の”演説”はいつもながら見事だわ。説得力あるよ。真樹子さん…、まあ、さっきは言い過ぎました。勘弁してほしい。…しかし、その横田とかっての、一度見てみたいな…」
祥子はとりあえず、”納得”したみたいだ
だが、この時の彼女、妙にギラギラした目つきだったわ



