文化祭の午後。
写真部の展示室は、人の出入りが途切れて静かだった。
壁には、私が撮った“誰かの日常”が並んでいる。
空、放課後の廊下、バスケボールの軌跡。


「これ、優衣が撮ったの?」
振り返ると、蒼が立っていた。
制服の袖を少し折って、柔らかく笑っている。