「また撮ってんの?」
背後から声がして、振り向くと里奈が笑っていた。
「相変わらず、隠し撮りのプロだね。」

「ち、違うよ。……光が綺麗だっただけ。」
言い訳みたいに呟くと、里奈はニヤッと笑った。
「ふうん。“光”っていう名前の男子いたっけ?」

私は俯いて、レンズを拭いた。
「……言わないでよ。ほんとに、ただ撮ってるだけ。」

——本当は、違う。
写真を撮るたび、彼が少しずつ遠くにいく気がして、怖かった。