わたしのスパダリな婚約者〜番外編〜




聞いてみればそれはそうだな、と当たり前のことだと思えるのにそんな当たり前のことを考えて実行してくれたことに驚いた。


いや、当たり前なんかじゃない。人はどうしたって自分本意になりやすい、特に私達のような子どもなんて尚更だ。自分を律するようにとは学んでいるけど完全に実行できる子なんていない。


参加している他のお茶会などでは気遣いや優しさなんて感じず、むしろ押し付けのような好みや自分をアピールされていた。


彼女のように、私個人のことを思って、考えてくれた人なんていなかった。


ぼんやりしながら再び口にしたスコーンはやはり私好みの甘さを控えた菓子で、よくよく考えれば紅茶も香りがきつすぎない好ましいものだった。


ほんわりと笑ってお茶を飲む目の前の女の子を見てふと思う。



(この子が、将来私の奥さんになるのか)