茶菓子と言えばクッキーやケーキなど基本的に甘いものが想起される。まぁそこは女性が主催することが多いから自然とそういう種類になったのだろう。男性は男性の集まりがあるしな。
だからこそ茶菓子でベーコンやチーズが入ったものというのは普通は考えつかないことだし正直味の想像もつかない。
思わずそんなことを考えている間にほんわかとした笑顔のままの婚約者手ずから皿に置かれてしまったのでついそのまま困惑しながら口に入れる。
どんな味なのかと少々不安だったがほんのりとした甘みのある生地に塩っ気のあるベーコンとチーズの組み合わせは思っていた以上に自分の口に合っていて「美味しい…」と自然に言葉が漏れる。
「よかった!これならクリス様でも楽しみながらお茶ができますね」
嬉しそうに自分も茶菓子を食べる婚約者の姿になんだか言いようのない感情が胸に湧いた。不愉快、とは違う……強いて言えば
不可解、だろうか。
見ている限りリーレは私と違って甘いものが好きなようだったし以前の茶菓子も喜んで食べていたようだった。それならわざわざ甘くない菓子を作る必要はないだろうに。



