美味しいと言ってくれる3人にお礼を返しながらわたしも紅茶を楽しんでいるとクリス様に名前を呼ばれた。



「今度は2人きりで茶会をしよう。またあのスコーンも焼いてくれるか?」



急に体を寄せられてびっくりしたかと思えば耳元で囁かれた言葉にじわりと頬に赤みが差す。


うぅ、そんな優しい声で甘えるように言うのは反則ですよクリス様……!



「あの、でも飽きたりしませんか…?この間も焼きましたし……」


「飽きたりするものか。あれは私にとって特別なものだからな」



柔らかく笑う姿が、言葉にしなくても愛おしいと伝えてくる瞳が、例えようもなく尊くて眩しくて未だに慣れない。先程の話を思い出してしまえばますます恥ずかしいのに嬉しいという複雑な思いに駆られてしまう。


ただでさえあの日から言葉を惜しまなくなってしまったクリス様に心臓が過剰運動をしているのに、いつか慣れる日なんて来るのかしら。


そろりと視線を向ければキラキラと輝く髪と真っ直ぐに見つめてくる緑柱石のような瞳、整った中性的な顔が視界に入る。うん、眩しい。


この人とこの先をずっと生きていくのよね……



「わたしは、幸運な人間ですね」