何せ彼女の魅力は外見ではなくその美しく優しい、慈愛溢れる心根にある。そんな彼女に群がる輩はほぼ全員が本気も本気の惚れた奴らばかりであり、隙あらば私から奪い、自らが婚約者の地位に立とうとするものでさえいたのだから自分に言い訳をしている暇などすぐになくなって認めざるを得なかった。
同時にこんなにも求められる彼女の隣にあれるように相応しい男になるためにあらゆる努力をするようになったのもこの頃だろう。家族はそんな私の姿を見てとても嬉しそうだったのをよく覚えている。
それはそれとして、まぁ男はいい。私が婚約者であることを押し出して彼女に近づくなと言えるのだから対処もしやすい。しかし同性である女性に関しては間違ってもリーレに付き合うなと言えるはずもなく、せいぜいが私との時間を増やすことでしか対応出来なかったのだから歯痒い。
………彼女に対しては感情がはっきりする私に家族は最初こそ微笑ましくしていたが、同性にまで嫉妬している様子を見て最終的には腹を抱えて笑っていた。確かに自分でも昔とは変わったと思うがそこまで笑わなくともいいだろうに。
しかも彼女は自分の魅力に対して無自覚なのだから尚更こちらははらはらしてしまう。何度彼女に対して同性であっても警戒心を持てと言いたくなったことか……そんな無垢なところもいいと思ってしまうのは恐らくは惚れた欲目なのだろうが。



