「今日もいい天気ですわねぇ」


「そうだな」



柔らかな日差しの中、ほんわりと微笑んで紅茶を口にする婚約者の姿にいつかの姿が思い返されて自然と頬が緩む。


ミルクティー色の髪がふわりと空気を含むように揺れ、春の空のような淡い青色の瞳が優しく細められる。


本人は自分のことを特筆した人間ではない、平凡だと言っているが、あの時から私の目にはいつだって彼女は特別で素晴らしい人間に見える。


誰よりも可憐で愛らしくて、天使か妖精のような無垢な愛おしい人だ。



「今日はスコーンを焼いてきましたの。よかったらどうぞ」



シンプルなものとベーコンとチーズが入ったそれは私の好みに合わせたもので、ますますあの時と符合するなと思い出されながら「頂こう、」と婚約者に言葉を返した。