「えっ」


誰かに起こされ目が覚め、目の前には見知らぬ女性がいた。


(誰?)


お母さんや凛々ちゃんじゃない。


というかここ、どこ?


見渡すと明らかに日本ではないのは確かだ。


どちらかと言うと、中華ぽい衣装と建物だけど……。


「目が覚めた?」


「あなたは?」


「おはよう。まだぼーっとしてる?
まあ、無理もないかな」


すごく綺麗な方だけど、どうにも怪しい気がする。


「こんな所で寝ていたら食べらちゃうわよ。
それに宴に遅れるわよ。さあ、早く靴を履いて」


(宴? 靴?)


いまいち頭がはっきりしないまま、その女性に急がされ横になぜか置いてあった靴を履く。


(あれ、これ私の靴だ…)


しかも、着ている服も私のだ。


というか、さっきまで自分のベットで寝ていた筈なんだけど。


(パジャマでもないし。……これは夢なの?)


にしては恐ろしい程に現実的だ。


「あら、でも宴にしてはちょっとあれね」


「?」


女性は私の服装を見て少し首を傾げる。


「こっちにいらっしゃい」


「えっえっ」


「この辺でいいかしらね」


「?」


女性は辺りを見渡す否やパチンと指を鳴らした。


「!?」


すると、突然辺りが衣装部屋かというくらいに衣装が360℃見渡せるウォークインクローゼット的な光景に変わったのだった。


「うーん、あなた小さそうだし」


(小さい…)


すごく引っかかる言葉だ。


そりゃあ、160はないけど150はある。


「うん、このくらいかしらね。着替えてみて。そこのカーテン開けたら着替えれるスペースあるから」


「あ、はい…」


渡された衣装を手に試着室みたいな所に入り着替える。


しかし、ここはいったいどうなっているのだろう。


これは本当に夢なのだろうか。


夢にしては現実味ありすぎるし。


「?……あれ、このトートバックも私のだ」


(なんで)


「早くした方がいいわよ。宴始まっちゃうから」


「あ、はい」


また急がされて、すぐに衣装に手を通した。