妖目の恋煩い〜猫と宴と…

それからしばらくして、先程のメイドさんが入浴時間となったので呼びに来てくれた。


にしても、ずっと部屋でいるのってつまらない。


外に出るつもりはないけど、家の中だけでも自由に歩かせてほしい。


「はあ…」


バスタブに入れてある入浴剤がいい匂いで心が落ち着く。


「あ…」


さっきメイドさんからこの鈴の付いた紐状のブレスレットを付けて入るように言われた。


どういう訳か防水加工もされているのか濡れても大丈夫なんだとか。


しかももっと謎なのが、鈴なのに鈴の音がちっともしない。


中に鈴の玉が入ってない訳でもない。


「緊急事態になったら鳴らせって言われてもな」


鳴らないのにどうやって鳴らせって言うのだろう。


「そろそろ上がろう」



それは、着替え途中で起きた。


「……っ!?……はあ…はっ」


(嘘…また…っ)


また呼吸が苦しくなって息がうまく出来なくなった。


手に持っていたパジャマを床に落としてしまう。


そのまま体もしゃがみ込んだ。


ぜえぜえっと吐く息がどんどん荒くなっていく。


(どうしよう…く、くるしい…っ)


声を出そうとしても呼吸の苦しさに声が出なかった。


「うう…っ」


(あ、そういえば…これ)


緊急事態の時に鳴らしてってメイドさんが言っていた事を思い出して、手首に付けた鈴のブレスレットに手を触れる。


「……っ」


鳴らないのにどうしろって言いたいけど、今はそれ所じゃなかったから僅かな体力で手首ごと何度も振った。


〈チリンチリンー〉


音が聴こえた。


微かだけど心地いい鈴の音が聴こえた。



(ああ、もう限界―)


意識が閉じかけようとしていた。


―その時、誰かの声が聴こえた。


何かが口の中に入っていく感覚を感じた。


呼吸が苦しくなくなった。


なんだろう…すごく心地よくて安心する温かさだ。