妖目の恋煩い〜猫と宴と…

〈·˚ ₊˚ˑ焔‑homura‑·˚ ₊˚ˑ〉



「全く…あなたって人は勝手なんですから」


「ごめんって」


あれから唯架ちゃんを屋敷のメイド達に任せて俺は仕事場にやってきた。


「今日って視察日だったよねー」


「ええ、そうですよ。あなたがあんな事していたからですよ」


執事で従僕の東遊〈あずま〉が相変わらず口うるさく言ってくる。


立場上では俺に仕えている者なんだけど、なぜかいつもグチグチと口うるさく言ってくる。


俺の両親でさえも口うるさく言わないのに、まるで母親か何かなのかと思うくらいだ。



「というか、どうするんですかあの子。
あのまま屋敷に居させるつもりですか?」


「えっそのつもりだけど?」


「ええっダメですよ。ちゃんと生身の人間は生身の人間の場所に行かせないと」


「はあ、東遊さ…本気で言ってる?」


「えっだって…そういう決まりじゃないですか」


「あそこがどういう場所か分かってる?
あんなの奴隷と同じでしょ。あんな場所で生活させられてさ、しかも地下街でさ、地上には上がってこられないように隠されてさ、若い女の子はいい用に利用して酷い事されてるんだよ。それでもあの子をあんな場所に連れて行くって言うの?」


「いや…確かに可哀想と思いますよ。けど、政府の決まりだから」



ここには生身の人間の居場所というものがない。


連れて来られた者やたまたま迷い込んだ者は、基本的には地下街に行くという事に一応なっている。


この獣の国にとって生身の人間というのは、餌みたいな物で、奴隷みたいな存在と言っていいくらいだ。


男女とわず奴隷のように働かせて、若い者だったら特に女の子を被害みたいな事に遭わされている。


生身の人間を解放させるように働きかけている貴族も何人かいて、実際に何人かの人は解放されているが、全てとはいっていないし、逆に解放を反対の者もいたりする。


「ていうか、決まりではないでしょ。
勝手に街の人間が認識して定着しただけだろ。政府の思惑に踊らされているだけだろ。実際、そういう決まりではないんだから。隠れている生身の人間だっているんだし」


「まあそうですけど…でも彼女の生身の人間の匂いが強い気がするんですよ。私はまだ平気ですけど。
ていうか、あなたわざとですよね?」


生身の人間は獣人と違って独特な匂いがする。


特に唯架ちゃんぐらいの年頃の女の子なる程 匂いが出て、その匂いに嗅ぎたてられた下級獣人やたまに一般獣人などが女の子を襲う事がある。


臭いというより甘い匂いで、一度嗅ぐと中毒性があって酔うほどで、理性が効かなくなる程だ。


下級獣人は基本的に生身の人間に対して耐性ができていない血を持っているので、基本的には理性が保てない。


一般獣人も下級獣人と交わった血を持っているの獣人もいるので、耐性ができなかったりする。


逆にそれ以上の階級獣人は耐性はできているので匂いに酔ったりしない。


まあ、俺のような貴族階級だと全てにおいて平気だが。


ただ、横を通ったぐらいでは確かに匂いはするけど理性が失くす程ではないが、欲に貪欲な獣人は理性を失くすかもだけど。


直で嗅ぐと完全に理性は耐えれなくなる。


ただ、ある一時だけは本当に理性が効かなくて、下級獣人は今回のような事が絶対に起こるが。



「何が?」


「どうせ狙われるの分かってるのに、わざと理性をなくさせるように仕向けましたよね?」


「ああ、でも恐怖を与えるには充分でしょ?」


「悪い人ですねー本当に」


わざと匂いを付けさせるように指示したのは事実で、しなくてもおそらく匂いで惹き付けられただろう。