「ここが君の部屋ね。必要な物は買い揃えたけど、必要な物があったらメイドに言ったらいいよ」


「あ、はい」


部屋に案内されて中に入る否や注意事を言われる。


「今から出かけなきゃいけないから、一応言っておくけどさ、絶対に外に出ようと思わないでね。というか、トイレ以外は部屋から出ないでほしいんだ」


「……拘束するつもりなの?」


「そういうつもりはないけど、ただ外には出てほしくないだけ」


「わかりました……」


どうせ嫌がっても意味はないのだろう。


行く所も帰る場所もないからどうしようもないけど。


でも、本当にこの人が言う通りあのままいたら死ぬのだろうか。


もしかしたら、嘘かもしれない。


どうにも信憑性がなくて信じられない。



「あ、それともう1つあって」


(まだあるの?)


「!」


なぜかまた首元に触れて何か確認する仕草をする。


「うーん、まだ大丈夫か」


「あ、あの…」


「今、体調悪いとかない?」


「えっいや…別に」


「そう、まだ保てているのか」


「?」


何を知りたいのだろうか?


「とりあえず、何か体に異変があったらメイドに言って。すぐ飛んでくるから」


「あ、はい」


「じゃあ、行ってくるね。良い子にしててね」


「………」


そう言って頭に手を置かれる。


なんだか子供相手に言っているみたいだ。


ていうか子供扱いされてる気がする。


(そもそもこの人、何歳なんだろう)



「……!?」


焔さんが手を頭から離して扉に向かおうとした時、突然 呼吸が苦しくなった。


(なにこれ……息が…)


「!」


(どうしよう…行ってしまう)


声を出したくても過呼吸みたいになって息が上手く呼吸できなくて、助けを求めたくてもできなかった。


(どうしよう…どうしよう…っ)


「ぁ…っ」