妖目の恋煩い〜猫と宴と…

「……あ、人だ」


ようやくして大通り辺りに出てきて人を見つけた。


(やっぱり動物の耳がある)


「んーよし…」


あの宴では誰も見向きされたかったし、あの変な匂いで追いかけられただけだから、多分普通に教えてくれる筈だ。


「ん…なんだこの匂いは」


私は1人の犬の耳?を生えた男性に声を掛けた。



「あの…」


「⁉…な、生身…」


(えっ)


声を掛けたのがいけなかったか、その男性は瞳孔を開き獲物を狙うかのような目つきで睨み、興奮し始めるかのように息をはあはあと洩らした。


(何何何?……ちょっと待って)


先程の二の舞いの状況にさーっと恐怖心が来る。


(またなの?…なんでっ)


だってあれは匂いでの事で…。


「!」


その時ふとお姉さんの言葉を思い出した。


『怖い目に遭うかも』と言っていた。


怖い目ってこういう事?


それにそういえば何かいい匂いにものを髪に付けられたような。



「生身の人間…喰わせろーっ」


「!?」


そして、突然に襲い掛かってきた。


咄嗟に避けたからなんとか回避できたけど、でも…。


「あれ…増えてる?」


気がつくと、男性の後ろに身構えるかのように人が増えていた。


しかも全員が男性。


(やだやだやだ…いやあ)


私は逃げるように走り出した。


だけど、逃げれば男達は追ってくる。


「生身の人間…」


「美味そう」


「食いたい」


男達の口から聞こえてくるのは恐怖しかない言葉ばかりだった。


(私なんて食べても美味しくないよ―!)


さっきと同じ恐怖なんだけど、男達の興奮状態が異常だった。


(どうしよう…どうしようっ)



「ひゃっ」


その時、目の前に通っていた人にそのままぶつかってしまう。


「大丈夫かい?」


「すいません…っ」


謝って顔を上げると、この人も追いかけれている人達と同じだった。


「君、いい匂いがするね」


「っ!?」


悪寒がゾクゾクと走った。


「ヘヘ、やっと追いつたぜ」


「やだ…離して…来ないで…」


離れてほしくても力が強すぎて離れない。


(何この力…人の力じゃない)



「ひっ」


追いかけてきた男達が次第に私に触れてくる。


後ろからは逃げないように引っ付かれて、恐怖のあまり今にも泣きそうになる。


(誰か助けて……いやあ…気持ち悪い)