「はい、終わったわよ」


「ありがとうございます」


「?」


(何かいい匂いする)


下ろした髪からふわっとフローラルのような香りが漂った。


「何か付けました?」


「ええ、男を魅了する香りよ」


(そういうのいらないんだけど)


おそらくお姉さんの好意なんだろう。


「私がするのはここまでだから、後はあなた次第から、きっといい方向に進むわ。
ちょっと怖い目に遭うかもだけど、これもあなたの為だから安心して」


お姉さんはなぜか意味深な言葉を言い始めた。


「あの…」


「お守りをあげようね」


そう言ってお姉さんは私の手のひらに何かを置いた。


「?」


手のひらにはパワーストーンのブレスレットのような水晶の1玉を置かれた。


「これは?」


すごく綺麗なサーモンピンクのした水晶玉だ。


「綺麗でしょ」


「うん、これはパワーストーンみたいなの?」


「ええ、失くしたら大変だから袋に入れましょうね」


その水晶の丸玉を小さめな巾着袋に入れて渡してくれた。


「ありがとう」


「ええ」


とりあえずその貰った水晶の入った巾着袋を鞄の中にしまった。



「さあ、気をつけてね」


「あ、はい…?」


衣装ルームを解除した後、お姉さんはそう私に言い残してどこかへと去っていった。


「?」



謎なお姉さんだった。


「!」


というか今 大変な事に気付いた。


これからどうしたらいいんだろう。


(ここどこなんだろう)


見た感じ下町ぽいけど…。


財布が鞄に入ってるぽいけど、多分 使えない気がする。


そもそもここがどこで何なのかよく分からない。


「お姉さんにもっとちゃんと聞けばよかった」


しかしあのお姉さんが言った言葉ってどういう意味なんだろう。


「うーん、怖い目に遭いたくないんだけど。とりあえず、誰かに聞くしかないのかな。大通りってどっちだろう」



未開の土地に来た気分だ。


でも、誰かに聞かないとこの状況を打破できそうにもないから。