妖目の恋煩い〜猫と宴と…

「座ったら?」


「えっあ…はい」


促されたようにソファに座ると、目の前にグラスが置かれる。


「水だよ、ただの水。ミント入ってるけど、大丈夫?」


「う、うん」


(でも、大丈夫なのかな)


もしかしたら、何か入っていたらと疑うが。


「安心していいよ。別に変なもの入っていないから」


「!」


その言葉を信じてグラスを手にし口の中に水を流し込んだ。


「あ、美味しい」


ミントの爽やかな風味が口全体に広がって気持ちが落ち着く感じがした。


「人間ってミント好きでしょ」


「全員が好きとは限らないかな。苦手な人もいるけど」


「ああ、そっか」



この人は私を助けてくれたという認識でいいのだろうか。


よく分からないけど。


「あの…聞いてもいいですか?」


「うん?…どうぞ」


「これは、どういう宴なんですか?」


「欲望と本能にまみれた下級獣人の宴だよ。要するに、匂いに酔って勢いに任せてやるんだよ」


「……何それ」


「因みに俺は参加はしていません」


「恋人でもないのに、こんな事っておかしいじゃあ」


「匂い嗅いだろ。どんな匂いした?」


(匂い?)


「ああ、いい匂いがした」


「ふーん、いい匂いか。そうなるか、なるほど。まあ、俺は効かないけど。
あれは欲望まみれになるお香だよ。まさに下品で野蛮な宴のお香にはぴったりだよな」


「はあ」


「言っておくけど、この辺りでは当たり前な所なんだよ」


「そうなんだ……」


この人はおそらく良い人なんだと思うけど、それにしたの階にいる人と比べれば限りなく違う。


ここはカースト制度とか存在するのだろうか。


「あの、さっき通った時は扉などなかった気がしたのだと思うんだけど」


「言ったろ? 一般の者は入れないって…目隠しで見えないようにされてるんだよ」


「そっかあ」


特殊な力か何かなのだろうか。


(じゃあ、私は…?)


普通に見えて入れたのだけど……。


「私はなんで?」


「んー俺が招いたからじゃないかな」


「えっ…」


(それって…つまりそういう事なの?)


「どういう事?」


「俺が助けたって言った方が理解できるかな」


「!」


やっぱりそうなんだ。


でもなんで……。