妖目の恋煩い〜猫と宴と…

「……!」



ふいに視線を感じて振り向くと、先程の綺麗な猫耳の男性がソファに座っていた。



(どうしよう…どうしよう)



この人もさっきの2人みたいに追いかけられたら、もう逃げる場所が本当にない。



「ここ、俺の専用の部屋で一般の者は入れないんだけど」


「えっ」


(あれ…来ないんだ…)


恐怖を感じたものの予想外な状況にすぐに恐怖心が引いた。


「あ、ごめんなさい。今、出ていきます」


(どうしよう…また逃げなきゃ)


まだ、音楽鳴ってるし、扉の外から私を探している声が聞こえるし、どこに逃げたらいいのだろう。


ドアノブを握り扉を開ける。



「えっ」


なぜか扉がパタンと戻された。


「!」


振り返ると私の背後から手を伸ばして扉を押していた。


(こ、これって…あの壁ドンってやつですか)


「まだ出ない方がいいよ。外は危ないよ。君、食われるよ」


(ち、近い…っ)


「でも、ここ…あなたの」


「しょうがないから、居させてあげる」


そういうと、そっと私から離れてまたソファに戻っていった。


「大丈夫だよ。ここには誰も来ないから」


「えっ」


「ここは、特別な者しか入れない場所だから」


「特別…?」


「あなたは…」


「下級獣人とは違うから、そもそもあの香りも効かないし。こんな野蛮で下品な宴に参加しないから、君の事も襲ったりもしない」


「………」


なんだろう言っている事と今ここにいる事と反比例している気がする。



「じゃあ、なんでここにいるの?」


「それは…ちょっとした理由でね」


「はあ…」


まだ、音楽が鳴っている。


いつ終わるのだろうか。


この宴から早く出たいのに。