「……っ、心くん……!」


 思い切って言ったら、顔がブワワッと熱くなった。

 はっ、恥ずかしい〜〜〜っ!

 すると、夏宮くんの表情が少しだけ緩む。

 ……けど、私の顎に添えられた手は外される気配がない。


「…… (しん)

「えっ」

「だから。 し、ん」


 よ、呼び捨てしてってこと……⁉
 
 無理、無理、恥ずかしい……!


「……っ」

「はやく」


 夏宮くんが顔を傾けて、鼻に鼻をすり、とあてた。


「~~~‼」

 キッ、キス、されちゃう!

「っ、心‼」


 それが私の口から飛び出すと、夏宮くん……(しん)が、ピタッと動きを止めた。

 そしてようやく、口角をあげてかわいい八重歯を見せてくれる。


「よくできました」


 そう言って私の頬にチュッと唇をつけた。


「~~~っ⁉」


 頬を押さえて声にならない声をあげると、(しん)がベッと舌を出して意地悪な顔をする。


「隙だらけ」


「っ……、」


 ハンバーグのお皿を持って去っていく(しん)の背中を呆然と見送りながら思う。


 やっぱり、ジャラい!