思考停止する私を、夏宮くんがじっと眺めている。

 その表情には、からかうようないたずらさは含まれていない。


 ドキン、ドキンと、胸が高鳴る。


 ……俺が、貰う? 俺が貰うってことは、つまり、


「……なんてね」


 そう言った夏宮くんが顔を背けて、立ち上がった。


「あー、腹減ったな。 宿題は後にしてそろそろ夕飯の準備しよー」


 何が起こったのかまだ頭が追い付かない私は、ひとまず「うん」と夏宮くんに相槌を返す。


 ……冗談?

 なんだ、冗談か。

 びっくりした。

 夏宮くんが真剣な顔で言うから。

 あぁ、おちついて、心臓。

 私は手の中のネックレスを両手で包んで胸にあてる。


 おーい、警報ー。

 仕事して〜。




 ピンポーン♪


「「!」」


 鳴ったのは警報じゃなく、呼び鈴だった。