「これもしかして太陽と月、取り外せるようになってんの?」

「あ……うん。 外してペアネックレスにできる」

「すげー。 よくできてんなー」


 夏宮くんは興味深げに私の手のひらのネックレスを眺めている。


「……太陽と月は、お互いに欠けちゃいけない存在の象徴なんだって。 だから、いつか大切な人ができたら渡してねって、おばあちゃんが」



 おじいちゃんが亡くなってから10年経った日に、おばあちゃんは私の手にネックレスを握らせた。

 そんな大事なもの受け取れないって断ったけど、おばあちゃんは『結婚指輪があるからいい』『勿体無いから凛が持ってて』って、半分強引に私の首にネックレスをつけた。

 それは、おばあちゃんが亡くなる三日前の出来事だった。




「……ふーん」


 夏宮くんの相槌を見て、ハッとする。

 ここまで言うつもりなかったのに。

 

「……じゃあそれ、俺が貰う」


「え?」