私はお父さんの部屋から工具箱を取り出して、小さめのペンチを持ってくる。

 夏宮くんに見守られながら、小さなネックレスの、お米より小さなリングを持った。

 大きく深呼吸をして、ペンチを持ち直す。

 ……よし。

 覚悟を決めて、リングの隙間目掛けてペンチをあてが
 

「ストップ!」


 ……おうとしたところで、夏宮くんの手に阻まれた。


「そのままいくと凛の親指、潰れない?」

「……」


 ……本当だ。

 サァ、と血の気が引いて、自分の親指を潰そうとしていたペンチをゆっくりとおろした。

 総じて、ダメダメすぎる。

 うぅ……恥ずかしい、悲しい、泣きたい。