私は慌てて机の下やキッチン、玄関の方まで探しに行く。


「凛」


 顔面蒼白になる私を、夏宮くんが落ち着きはらった声で呼んだ。


「ネックレスって、これ?」

「!」


 夏宮くんの手からぶら下がる、アンティーク調の太陽と月モチーフのネックレス。


「それ‼︎」

 私は一目散に夏宮くんの元へと駆け寄った。


「普通に凛が座ってたとこのカーペットのフカフカの隙間に落ちてたよ」


 夏宮くんが私の手にシャラ、とネックレスを置いてくれる。

 パールサイズのモチーフに埋め込まれた、ビーズより小さな宝石がキラキラと輝いた。


 よかったぁー……!


「夏宮くん、ありがとう〜」


 クタッと脱力して嬉し涙を目尻に溜めながらお礼を言うと、夏宮くんが「どういたしましてー」とフランクな笑顔を返してくれる。

 ほんと私って、そそっかしいというか、おっちょこちょいというか……

 自分のことながら、呆れる。


「それ、ずっとつけてるよね」


 落胆する私に、夏宮くんが言った。


「うん……おじいちゃんとおばあちゃんの、形見で……」