「なぁーん」


 また変な鳴き声を出す猫ちゃんに癒されて、フ、と笑いがこぼれる。


「……ごめんね猫ちゃん。君がいたら、きっと寂しくないんだろうけど」


 そのビー玉みたいなつぶらな瞳に、つい本音が漏れた。

 それを知ってか知らずか、猫ちゃんは鳴くのをやめた。


「今度こそ、バイバイ」


 やっぱり鳴かないその子を置いて、私は階段を上がり始める。

 振り返ってそこにとどまっているのを確認してかけあがり、自分の部屋の前まできて、ついてきてないことをチェックする。


 ……ごめんね、猫ちゃん。


 私はひとつため息をついて扉を開けた。

 その、次の瞬間。

 足元をビュンッ!とすごい勢いで何かがすり抜けて部屋の中に入った。


「‼」


 猫ちゃん‼︎