見るとそこには、朝練終わりらしいジャージ姿の、中志津響。

 ちょっと後ろから私たちをニマニマ見つめるクラスメイトたち。


「……あー」


 そっか。

 みんなに特に報告したりはしてなかったな……。

 響は私の微妙な顔を見て察したのか、ふ、と口角をあげた。


「おはよー元カノ」


 響がよっとフランクに手を挙げた。

 〝元カノ〟というワードに、教室の時が止まる。

 そんな中で私は一人、あはっと笑って手を挙げた。

 
「おはよー元カレ!」


 直後、「ええええええ⁉」とみんなが一斉に大きな声でハモった。

 うーん、これは合唱コンクール優勝しちゃうね。


「別れたん!?」

「マジ⁉なんで⁉」


 磁石で引き寄せられたかのように私たちの元へ駆け寄ってくるミーハーなクラスメイト達に、私と元カレは目を見合わせる。

 なんで別れるかまでは決めてなかったね。