「全然ダメじゃないよ」


 本当のこと言えなくて苦しかっただろうな

 一生懸命私のこと……きっと紗英のことも、守ろうとしてくれてたんだよね

 今日だってきっとたくさん走り回って、いろんなところ探してくれたんだね


 私は心の背中にくっついて、ところどころ泥で汚れてしまっているシャツを引っ張った。
 
 
「心は、かっこいいよ。 世界一かっこいい」

「……!」
 

 心のあったかくて、大きくて、ちょっと汗のにおいがする背中に気持ちが溢れ出る。

 
「頑張ったね。 たくさん、頑張ったね」


 わたしのこと、見つけてくれて


「ありがとう」
 

 大好きだよ。


 その気持ちが伝わるように、心の背中にぎゅっと抱きついた。