飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「ていうか心、制服汚れすぎじゃない?」

「ん?うわ、ほんとだ」

「どこ行ったらそんな汚れんの」

「側溝」

「側溝……⁉︎」

「凛のことだからうっかり入っちゃうことあるかなって」


 ……失礼な。


「そんなんいいから早く探そう。凛のことだから闇雲に走り回ってクタクタになってるかも」
 

 心の優しさに、胸がぎゅうぎゅう締め付けられる。

 ……あぁ、もう、どうして

 言いたい

 ここにいるよって

 抱きつきに行きたいのに


「っ、ニャー……!」


 私はおじさんの肩越しに心を呼んだ。

 心がこちらに気が付いて、目が合う。


「ニャー!ニャー!」


 心

 私だよ

 気付いて、お願い

 心……!
 

「ミャ、ミャァ~!」

「おいこら、大人しくしねぇと殴るぞ黒猫!」