飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「……」


 しばらく懸命に鳴く私を眺めた響は、

 
「……すいません、違ったみたいです」


 私をおじさんの元に返した。
 

「ギニャァァァー‼(響ぃー‼)」


 無理なんだって!喋れないんだって!うわぁーん!

 
「コラ!大人しくしろっつってんだろ、このやろー!」


 おじさんは乱暴に私を掴んで、自身が乗ってきたらしい自転車に向かう。


「キョン!」


 !


 その声に、胸がドクンと高鳴った。


「心」


 心が、私たちの横をすり抜けて、息を切らしながら響の元へ走る。


「いた?」

「いや、いない。駅前の方行ってみる?」

「じゃあ俺、もう一回凛の家の方にー……」


 二人はスマホの地図アプリを見ながら相談している。

 その真剣な表情に、胸がギュッと苦しくなって、泣きそうになる。