飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「ニ゛ャッ⁉」


 後ろから突然誰かに抱きあげられた。


「近頃うちの店荒らしてやがったのはお前か⁉︎」


 ……あ!さっきの魚屋のおじさん‼︎


「このドラ猫め!迷惑猫として保健所につれてってやる!」


 ほっ、保健所⁉

 保健所って、何日か引き取り手が見つからなかったら安楽死させられるっていう……⁉


「ッニャー!ニャー!ギニャァアア‼」


 私はおじさんから逃れようとジタバタもがくけど、おじさんの屈強な体はびくともしない。


「コラッ!大人しくしろ!絶対逃がさねぇからな‼」


 許してください!お願いします!こんど一番高いお魚、買いに行きますからぁ~‼


「あの」


 そのとき、聞き覚えのある、静かな声がした。