飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「……うん。そうだよな、腹減ってんだよな」


 そうじゃない!

 いや、それもあるけど、そうじゃないんだよ彩人くん……!


「ごめんね、いま人を探してて、忙しいんだ。また今度な」


 そう言って彩人くんは頭を撫でてくれると、再びそこにいた人に声をかけた。


「ミャァ~(彩人く~ん)……」


 最後に彩人くんを呼んでみたけど、わかってくれるはずもなく、困ったように微笑んでくれるだけだった。

 それはそうだ。 彩人くんからしたら物乞いする猫がニャーニャー言ってるだけなんだから。

 なす術もなく、私はその場をあとにした。


 トボトボと来た道を戻る。

 暑さにフラフラしながらようやく到着したのは振り出し、マルマル公園だった。


 これからどうしよう……この状況を何とかしないといけない。

 彩人くんのためにも、なんとかして人間に戻らないと……


『恋してる相手にさわると戻れるってこと』


 ……!

 私が、恋してる相手……


 ……心


 私は草むらから起き上がった。
 

 心を探さなきゃ……!

 公園を出て学校へ走ろうとした、その時だった。