飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「心」


 呼ばれて顔をあげると、親友の鋭い目に捕まった。
 

「お前の守り方、それで合ってる?」


 俺は石になったみたいに動けなくなった。

 核心を、突かれた気がした。


 キョンは俺の返事を待たずに歩き出して、鞄を自分の机から持ち上げて先生の元へ向かう。


「センセー。具合が悪いので早退します」

「え?具合悪い?どの辺が……て、おい!中志津⁉」


 キョンが去っていくのを呆然と眺めながら、凛が言ったという『心を取り返してくる』という言葉の意味を考える。


 ……どこから、取り返すって?
 


「凛、風邪かなぁ」

「!」

「心配だねぇ」


 いつの間にか横にいた紗英が、俺の机に頬杖をついていた。

 目があって、紗英はニコッと微笑む。

 ……紗英が、かなり機嫌いい時の顔。


「……何したの?」


 嫌な予感が渦巻く俺の心中を知ってか知らずか、紗英がフフッと嬉しそうに笑って俺に抱きついた。


「なにが~?」


 クラスメイト達は慣れっこの光景に、もう冷やかすことも飽きたらしく気にも留めない。