「……え?」


「恋してる、相手」


 響は、丁寧に私のことを指さして言った。


「……」
 

 〝何にでも一生懸命で全力な凛はかっこいいよ〟


「……」


 〝凛の定位置、ここだから〟


「……なにそれ」


 〝好きだよ、凛〟


「っ……」


 全部、心の本当の気持ちだったってこと……?


「……もぉ〜……っ」


 それは、一緒にいたころの心のあったかい愛が、全身に降り注ぐみたいな感覚だった。


「~~~……っ私のこと、大好きじゃん……っ」


 こらえきれずに、あふれ出す。


 ……嘘つき。

 心の、嘘つき。


「っ……、じゃあ、なんで……?なんで心は、」


「だから」


 ピシッ


「痛い!」


 二回目のデコピン。


「それを確かめるんでしょ」


 響が泣きながらひたいをおさえる私に、微笑んだ。


「もう頑張る方向、間違えないでよ」


 響が涙を拭ってくれる。


「うん……うん」


 私は力強く、頷いた。


「私……心を取り返してくる」