響が言ってるのは、みんなでお弁当を食べてる最中の心と紗英のイチャイチャっぷり。

 みんなの冷やかしもお構いなしで、ずっとくっついていた。


「凛を敢えて苦しめようとしてる気がする。あっちがその気ならこっちも……」

「これ、意味あるのかな」

「え?」


 私は、もう目が合わなくなってしまった心の横顔を思い出す。


「たまたま私が猫になった心と会って、一緒に暮らすことになっただけで……心にとっては、そのときの情はあっても特別な存在ではなかったんじゃないかな」


 必要以上のハグも、甘い言葉も、はじめてのキスも

 全部心にとっては情の延長線上にあったもので

 私だからじゃなくて、そこにいたからだったのかもしれない。


「私が、響を巻き込んでまで頑張る意味、あるのかな」


 〝俺が好きなのは紗英だよ〟


 それが今の……心の、気持ち。