心はにこりともせず、無表情で私のことをじっと見ている。

 え……? なんでそこにいるんだろう。

 後ろを振り返ってみても誰もいない。

 心が一人でそこにいて、やっぱり私をじっと見ている。

 ……いや、でも、私に用があるわけではないはず。

 きっとここで誰かを待ってるんだ。

 とにもかくにも、心の前を通らないことには体育館に戻れない。

 私は脈打つ鼓動がどんどん速く大きくなるのを感じながら、心のいるほうに向かって歩き出した。

 学校に来るようになってからずっと、ほとんど目を合わそうとしなかったはずの心が、なにも言わずにただじっと距離が近くなっていく私を見ている。

 せめてなにか言ってくれればいいのに、心の口は閉ざされたまま。

 ただただ、見てくる。

 もうどうしたらいいかわからず、私はギュッと目を閉じた。

 そのまま心の前を通り過ぎようとしたとき、