にっこりと笑ったその影が、俺を猫にした人物だと気が付いた時にはもう、俺は背中にブスリと注射針を打たれていて。


「っ、」
 

 ボフンッ。


 爆発音とともに視界が高くなったと思った次の瞬間には、ひどいめまいがして倒れ込むのを、自分より大きな男に抱き留められる。

 ぼやける視界の中で自分の人間の手が見えて、あぁ、戻ったんだ、と理解した。


「迎えに来たよ」


 到底動きそうにない俺の体を、大きな男が車の後部座席に運び込み、その人物に引き渡した。



 俺はなけなしの気力を振り絞って、その人物の名前を呼ぶ。




「……さ……え……」