「そういえば紗英どこ行ったか知ってる?」

「あれ?いない?」

「うん。トイレかなー」

「私見てくるよ」

「じゃあ私とりあえず先行って場所取ってくるー」

「はーい」


 セイラと手を振って、私は一番近いトイレに顔を出した。

 しばらく全部の個室トイレが開くのを確認したけど、紗英は出てこなかった。

 どこ行ったんだろ?

 トイレから出て廊下をキョロキョロと見渡す。

 すると遠くの方に、紗英のお団子が見えた。

 
「あっ、紗英ー」


 距離が遠かったからか、紗英は振り向くことなくそのまま角を曲がって階段の方に消えてしまう。

 どこ行くんだろう?

 私は足を速めて、紗英のあとを追いかける。


「紗英ー……!」


 角を曲がった先、人気のない階段で紗英がうずくまって、震えていた。