「じゃあお昼食べに行こ。 これ私のお母さんが作ったんだけど、一緒に食べようよ。凛、クッキー好き?」

「うん、好き……」


 
 『好きだよ』
 
 

「っくぁ!」

 私は勢いよく机に顔をつっぷした。

「え、なに?こわ」

 セイラのドン引きしてる声がする。


 ……ムリ。

 ムリだよ、昨日の今日で普通に過ごすなんて、できないよ。


 昨日、キスをしたあと。

 恥ずかしすぎてどうしたらいいかわからなくて、二人でご飯を食べてからすぐ、私は(しん)と目も合わさずに自分の部屋へと逃げた。

 
 昨日のあれって、気持ちが通じ合ったってことでいいんだよね。

 これって、もしかして、彼氏と彼女、的な……⁉


「ッキャー!」

 突然叫んだ私にセイラがビクッとする。

「だからこわいって」
 
「ごめん、でも、叫ばずにはいられないの……!」
 
 セイラは「あっそ」と蔑んだ視線を私に送った。

 その視線が気にならないくらいには、私は浮かれちゃってる。