はっきりと響いたその言葉をきっかけに、教室は潮が引いたように静まり返った。


「っ……」


 しまった。


「えっ? それって……」


 セイラが目を見開いて私に聞く。

 クラス中のみんなが、固唾を吞んで私の次の言葉を待っている。

 私は頭が真っ白になったまま、ごくりと生唾を飲んで、ようやく口を開く。


「…………猫」


 クラス中がキョトンとした。

 セイラが「え?」と声を漏らした。

 私は半ばやけくそで、もう一度か細い声で言う。


「飼ってる、猫」


 …………。
 

 しばし、沈黙。