飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「やだよ。 まだ食ってねーもん」

「あっ、もう焼けたんじゃね?」

「まだ真っ白ですが」

「ささ、お客様お先にどーぞ。遠慮なさらず」

「おい、生焼けを皿に乗せんな」

「ほらお食べ、たんとお食べ。 そして帰れ、光の速さで」

「光は物理的に無理」

 生焼けたこ焼きをプレートに戻すキョンと、また別の生焼けたこ焼きをキョンのお皿に乗せる(しん)

 工場の流れ作業みたいで「あはっ」と思わず笑ってしまう。

「笑ってる場合じゃないよ、凛。 この人なんとかしてよ」

「いや、なんとかされるべきはそっちだろ。 月寄、客の腹壊そうとしてるたこ焼き店があるって110番して」

「ここ、たこ焼き店じゃねーから!」

「あはははは!」

 二人が面白すぎて、笑いが止まらない。