飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

 いつの間にかトイレから戻っていたキョンが、私の隣に片膝をたてて座った。


「そうかな……?」

「うん」


 ……よく考えたら、(しん)と二人でいるところを人に見られるのって、これが初めてなんだ。

 自分の家なのになんかソワソワするのは、そのせいかな。


「月寄ってそういう顔するんだね」

「え⁉ そ、そういう顔って……⁉」

「んー……」


 キョンが自分の立て膝に頬をつけて私の顔をじー……と見る。

 
「……〝女の子〟って顔」

「……えっ」


 ドンッ!


 その時、私とキョンの目の前に明太子のお皿が勢いよく置かれた。


「……近すぎ」


 無理やりキョンと私の間に割り込んだ(しん)が「狭い、もっとそっち行け」とキョンを肘でおしのけると、「無理に入るからだろ」とキョンが反論する。

 そして(しん)は不機嫌なままテキパキと準備を進め、生地を丸い型に流し込み始めた。

 私はなんとなく、『猫は本当はやきもち焼き』というネットの記事を思い出していた。