飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

 そうこうしてようやくローテーブルの上にタコ焼き器をセットし、温め始める。

「油よし、生地よし、具材よし、あとはー……」

「凛ー」

 私が指さし確認して必要なものを考えていると、キッチンの方から(しん)の声がする。
 
「飲み物麦茶でいいー? そんで竹串出したー?」

「! うん、麦茶で! 竹串まだ!」

「あと今日、食器は紙コップと紙皿でいいよな? 洗い物めんどくさいから」

「……!」

「え、なに?」

「天才……?」

 私が気付かないところをくまなく気付いてくれる(しん)に、驚きを隠せない。

「驚きすぎ」

 そう笑いながら(しん)は麦茶と、私が忘れていた鰹節も持ってきてくれる。

「そうだ。 冷蔵庫に確か貰った明太子あったよな。 あれと餅入れよ」

「っ、!」

「そうだな、俺天才だな」

 私の心の声に勝手に返事をした(しん)は、私の頭にポンと手を置いて冷蔵庫に向かう。
 

「仲いいね」