飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。


「っ、わ、私が! 私がやりました!!!!」



 言いながら私は目をギュッと瞑って右手を勢いよく挙げた。



「え?」


 
 すると、はらり。

 ハンカチが床に落ちた。



 「あ」



 プシャッ!


 
 私の人差し指から、血が噴き出した。



「「‼!!」」



 わぁ

 アドレナリンってすごいんだ


 
 血しぶきが舞うのを眺めながらそんな呑気な考えが浮かんだのはたぶん、異常事態の乱立に頭がショートしたからだと思う。



「っぎいやああああああ!!!!!!」


 凄い剣幕で叫んで後ろにひっくり返って尻餅をついたのは、壺井先生だった。

 入江さんは両手で口元をおさえて、目を見開いて私を見ている。


 
 あぁ、カオスってこういうことを言うんだな


 
 と、また呑気な感想を頭の中で思いながら、クラッと眩暈がした私は目の前が真っ暗になって、なす術もなくその場に崩れ落ちた。