「あっ、あのね、えっと……」


 私はなるべく優しい空気を心掛けるけど、二人は何を言われるんだろうと、眼鏡の奥の血走らせた目で私を見ている。
 
 ……こんな二人にお手伝いなんてお願いしたら、それこそへりくだりまくられて虐げられた下民のごとく働かせてしまいそうだ。


「あ、えっと、ごめん、フフ……あのー……ふへへ」

「……? ふ、フフ……」


 いつかと同じくなんのごまかしの言葉も出てこない私による謎の愛想笑いタイムに、二人は不思議そうな顔で一緒に笑ってくれる。


「「「あははは」」」


 ……しばし、謎の愛想笑いタイムが続いた。

 そして、


「あはは、ふふ、……失礼しました」


 謎に手を合わせてそう言った私に、


「あ、はい、し、失礼しますっ‼」


 二人は90度のきれいなお辞儀をしてから、逃げるように教室を出て行った。


「……」


 誰もいなくなって、静まり返る教室。

 愛想笑いを戻し忘れた私が、ポツン。


「……くぅ……っ」


 ガシッと頭を抱えた。


 っなにしてんねん!!