私は教室の中を見渡してみる。

 教室に残ってるのはアニメの話に夢中になってる女の子二人組、これから部活に行くらしいジャージ姿の男の子三人組。

 無論、まともに話したことのある人は、いない。

 ……残ってる誰かに手伝ってもらえないか聞いてみようか。

 そうだ、今こそ友達を作るチャンスなんじゃない⁉

 私は拳をぎゅっと握った。

 
「あっ、あの、田中さん!町田さん!」

 
 立ち上がった勢いでアニメの話に夢中になっていた女の子二人組に声をかけると、二人がビクゥッと体を震わせた。

 
「⁉︎ はっ、はいぃ‼」

 
 そして教官に怒られた自衛隊員のようにビシッと気をつけをする。
 
 あぁ、違うんです、緊張させたいわけじゃないんです……!