……(しん)は、どういう気持ちで言ってたんだろう。



「……でも、最近の(しん)は、必死になろうとしてた気がする」



 そう言った中志津くんが、じっと私を見ていた。

 その目は例の、試すような目。



「必死なやつ見てると、つられるって」

「え……?」



 必死なやつって……



「月寄」



 風が吹いて、中志津くんの前髪が揺れた。



「本当に、何も知らないんだよな……?」



 その切ない声に、すがるような目に。



「……っ」



 いっそ言ってしまおうかと、本音が喉元までせりあがってきていた。



「…………知ら、ない」



 なんとかそう絞り出した私に、中志津くんは「そっか」とだけ言って立ち上がった。

 そして空を仰いで息を吐きながら、言った。



「今頃何してんだろうな、ほんと」