飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

✧˙⁎⋆



 そして私は、なぜか(しん)の背中にくっついている。

 
「凛。 もっとちゃんとくっついて」

「っ、くっついてるよ……っ」


 お風呂から出るとすぐ、(しん)は満面の笑みで『今日は俺が作る』と宣言した。

 結構ですって言おうとした私の返事を聞く前に(しん)はもうキッチンに立っていて、いそいそと準備を始めてしまって、今。

 (しん)は容赦なく、要求してくる。


「だめ。もっと」


 (しん)は、背中のシャツを掴んでいた私の手を引っ張って、エプロンの中に入れさせてしっかり抱きつくような体勢にさせる。


「これでよし」

「~~~っ!」


 
 もちろん私は何度も断った。

 だって、こうしてくっついてないといけないし、前に(しん)は包丁握ったことないって言ってたし、自分からくっつくってしたことなかったから、かなり恥ずかしいし。