飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

「もー大丈夫! 自分でやるよ、ありがとう」


 私は自分の髪を拭いてくれていた(しん)の手を下ろさせて、笑ってみせた。


「ふふ、忘れもの見つけられなかった~残念っ。 心配かけてごめんね」


 そう言って自分で髪を拭き始めるけど、複雑そうな顔の(しん)と目があった。

 自分がうまく笑えてないんだってことがわかって、恥ずかしくなって泣きそうになって、タオルで顔を隠す。


「やー、疲れたなぁ、はは……」


 ……どうしたの、私。

 学校でしてるみたいに、笑えばいいのに。

 得意でしょ、笑顔つくるの。


「……そっか」


 タオルに突っ伏す私の頭の上から(しん)の静かな相槌が聞こえて、


「!」


 私は(しん)の腕の中に閉じ込められた。