飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。


 ……今日は、疲れた。

 
 クラスの女の子の陰口を聞いた。

 入江さんに気まずそうな顔をさせてしまった。

 強面の人にぶつかって怒鳴られた挙句荷物をひっくり返した。

 その上突然、雨に降られて、

 何よりも大事なネックレスを、失くした。
 

 本当に、本当に疲れた。

 



 ……でも、(しん)がいた。





「……凛?」


 (しん)のやさしさが、ひとつひとつ疲れ切った心と体に沁みて、溢れちゃいそうになって、俯く。


「っ……、うん……っ」
 

 声がか細くなって、震えた。

 私はそれをごまかすようにンンッと咳払いしてから顔をあげる。