七箇所目の挙式が行われるのは、イタリアらしい。
幼い頃に二回ほど来ているから、ちょっと懐かしさを覚えた。
移動日の今日は観光する日になっていて、彼と肩を並べて街並みを楽しむ。
「哲平さん」
「どうした」
「ドレスって、……十着あるんですか?」
これまでの挙式、全て違うドレス仕様。
哲平さんの衣装もドレスに合わせて毎回違う。
「いや」
「えっ、違うんですか?」
「うん、十二着あるはずだ」
「え……」
「一応、何かあった時の為に予備に用意してあるはず」
「………」
想像を超えてて怖いです、本当に。
今着ているような服も、着回しせずに毎日別の服だし。
福田さんに今朝聞いたら、事前に手配済みなのと、臨機応変で現地調達もするという。
……どんだけお金使うの――――ッ!!
専属カメラマンさんが三人いて、挙式だけでなく、観光したり食事したりしてる所も随時撮影している所をみると、きっと後でフォトブックになりそうな予感。
もうこうなったら、全力で楽しむほかない。
こんな贅沢、そうそう味わうことも出来ないもの。
「哲平さん、ジェラート食べたいっ」
「ジェラート?赤堀、どこの店が美味しいのか、調べてくれ」
「承知しました」
「あ、いや、そこら辺のお店ので構わないんだけど……」
彼は常にベストを求める。
私はベターでも十分なのに。
そんな彼の愛情を余すことなく戴かなくちゃ、罰が当たりそう。
「えな、この店、有名な靴屋だから入るぞ」
「………はい」
イタリアに何度も来ている彼は、瞳を輝かせて私の手を引き寄せた。
もれなく、高級なパンプスが手に入りそうだ……。



