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私にはあまり馴染みのない国だけど、これまでの教会や街並みを考えると、きっと何かがありそう。
彼は彫刻や絵画を扱う仕事もしているみたいで、美しいものに触れるのが好きみたい。
歴史的建造物や有名絵画を生で観れるのは至極の倖せというもの。
ホテルに到着すると、福田さんが何やら荷物を解き始めた。
そして、用意された服はフル装備とも思える防寒の服。
「お夕食後に、入浴せずにこちらにお召し替え下さい」
「……はい」
ノルウェーと似たような場所にあるから、夜散歩も寒いよね、きっと。
仕事の電話を終えた彼が私の元にやって来た。
「風邪引いたら洒落にならないから、これでもかというくらい着込め」
どの国のお料理も美味しい。
御影家が手配してくれているのだから、当然なんだけど。
手長えびが絶品で、海に囲まれているだけのことはある。
魚介類が豊富で、ついつい食べ過ぎてしまった。
ドレス、着れるだろうか……?
夕食後に用意されている服に着替え、イヤーマフと手編みのマフラー、それとかなり分厚い手袋を装備。
「準備できたか?」
「はいっ」
分厚い手袋を嵌めてても、手はしっかりと掴んでくれる彼。
足下が滑ると危ないからと、もう片方の手で肩をしっかりと抱き寄せてくれている。
ホテルから外に出ると……。
「わぁぁぁぁ~っ!!オーロラッ!!」
「今時期なら結構な確率で観れるから」
「そうなんですかっ?!」
漆黒の夜空に幻想的な光のカーテンが揺らめく。
白く靡く裾は黄色から黄緑色に変化し、時に青く、時に赤い色を放つ。
仰け反ってしまうほど空を仰ぎ見て、溜息が漏れ出す。
そんな私の体を支え、彼は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「連れて来た甲斐があったな」
「……え?何か仰いました?」
「いや、何でもない」
イヤーマフをしていて、彼の声が聞こえ辛い。
だけどその表情から、満足してるのは見て取れた。



